まほろばの島詩

50年ぶりに帰ってきた故郷の風景写真

「ぶらり鎌倉」 最終章  東慶寺

建長寺を出て北鎌倉駅の方へ歩き出した僕の前方を歩いているあの後姿、確かあれは・・。
鏑木清方の描いたような白いうなじの美人・・・ではなく、小さな頃から知っている彼に違いない。
急ぎ足で近づいて確かめると、やはりそうでした。
「やあ、久しぶり。随分大きくなったねえ。元気で頑張っていますか。」と声をかけました。
2011,12,15鎌倉 020
 【東慶寺】  ※ フォトギャラリーを是非ご覧下さい。



一瞬驚いたような顔を見せ、それが僕だと分かると安心したように昔のままの笑顔を見せた彼は、
湘南地区の中高一貫の有名男子校に通っている中学三年生。
久しぶりに出会った喜びの挨拶を済ませた後、「学校は、毎日楽しいですか」と聞くと、
「ありがとうございます。先生方も素晴らしく授業も部活も面白いし、友達も皆良い奴ばかりで学校が楽しいです。」と、まるで学校案内に書かれているような返事が返ってきました。・笑・
彼は丁度試験が終わったので、ふらり鎌倉に来たという。色々話など聞きながら北鎌倉駅に向かう途中、精進料理の「鉢の木」の前に差し掛かりました。
北鎌倉には「鉢の木」が二軒ある。建長寺総門前本店と浄智寺近くのこの店です。
「君は≪いざ鎌倉≫って言葉を知っているかい。その語源は、有名な 謡曲『鉢の木』 という話の中に出てくるのだけれど、この店の名「鉢の木」もここから採ったものだと思うよ。」
そんな話をしているうちに、東慶寺前にやってきました。
北鎌倉・鉢の木


「この辺りは何度か通った事はあるけれど、入ったことはありません。でも ♪『縁切り寺』♪ という歌は知っています。」と言うので、「ここで君とこうして出会ったのも何かの縁だ。和尚さんがいれば良かったのだが今日は生憎出かけているとの事。でも、行ってみましょう。」と中へ入る事にしました。 
(バシッ!縁があって出会ったその足で≪縁切り寺≫かい。)・笑・

こちらはその「東慶寺」の案内板。彼の挨拶のように簡潔に寺の概要が記されています。・笑・
2011,12,15鎌倉 032


僕たちは、高い石段を登り、瀟洒な山門をくぐりました。
東慶寺へは、去年6月に  「イワガラミ」   「イワタバコ」  を撮りに来て以来です。
東慶寺の紅葉2


境内の紅葉は弱い冬の薄日を受けながら散り急いでいました。
東慶寺の紅葉3


音もなく散る紅葉を見ていると、良寛の句を思い出します。(辞世の句と言われています)
「裏を見せ 表を見せて 散る紅葉」
東慶寺の紅葉4


横須賀に帰ってからは余り出かけないので、この日が2011年の紅葉の見納めとなりました。
東慶寺の紅葉1


方丈前の「柏葉紫陽花」の葉も紅葉していました。
柏葉紫陽花


彼は携帯を取り出して、心に感じるままに何枚も写真を撮っていました。
東慶寺


ここは境内の奥右手の墓苑です。開山の覚山尼(北条時宗の妻)、用堂尼(後醍醐天皇の皇女)、天秀尼(豊臣秀頼の息女)など歴代住持の眠っている墓苑の一隅に残っていた紫陽花の冬花。
東慶寺墓苑3


冬の花「ヤツデ」は、雪かと見違う程沢山の白い花を咲かせていました。
静寂な墓苑で何か人の声がします。良く聞くと、彼が高村光太郎の詩を口づさんでいました。
「冬よ 僕に来い、僕に来い 僕は冬の力、冬は僕の餌食だ」
「良く知っているね。『冬が来た』という、厳しい人生に立ち向かう決意に漲っているいい詩だ」
「はい。学校で習いました。」そういって笑う彼の背は、もう僕のところに届いています。
東慶時墓苑2


墓苑の竹の間から差し込んだ斜陽が、若い紅葉を照らしていました。
 ♪『竹』♪ 
♪ 雪の降る日も雨の日も 竹は節目で伸びてゆく 人もまた己が道の一里 確かめながら行けばいい  そこに出逢いも彩りも  ああ粛々と行けばいい ♪   
東慶寺墓苑1


♪月の世界に憧れて 竹に託した夢もある 人はみな見果てぬ夢の夢灯り しっかと抱いて生きリゃいい 熱い想いを温もりを ああ・・粛々と行けばいい ♪
良く見ると、彼は苔を撮っている。木漏れ日に輝いている苔の緑が美しかったのだろう。
大人でも見逃してしまう美しさを・・・感性も鋭く豊かなのだろう。
東慶寺墓苑2


「一生懸命勉強して、立派な人にります。」と言う君の心意気はとても大事だ。でも君、ちょっと力が入りすぎだよ。(写真参)・笑・そんなに気負わず 力まず、肩の力を抜いていきましょう。焦るとしくじるからね。
2011,12,15鎌倉R 032


♪花の咲くのは只一度 竹は命が終わる時 人も又上辺の花を飾るより 誠の花を持てばいい 心豊かにしなやかに ああ・・粛々と行けばいい♪
「君のすぐ傍にいる哲学者・西田幾多郎(窓写真)も、きっと君の事を応援してくれていると思うよ。」
そう言うと、彼はにこっとして空を見上げました。
コピー ~ 2011,12,15
「竹」という歌は、僕自身の応援歌の一つだし、若者に贈りたい応援歌の一つでもあるのだよ。
(バシッ!北さん、若い子に「演歌」の応援歌を贈るなんてかわいそうだよ。) 
そうだよね~。だって、若い子の好きそうな歌、知らないんだもの。 
それでは、また。

■資料
「冬が来た」 高村光太郎

きっぱりと冬が来た 
八つ手の白い花も消え 
公孫樹の木も箒(ほうき)になつた

きりきりともみ込むような冬が来た 
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た

冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
 
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た



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  1. 2012/02/01(水) 00:00:27|
  2. 鎌倉
  3. | コメント:6
<<雪の浅草寺  | ホーム | 「ぶらり鎌倉」 4 建長寺②>>

コメント

こんばんは

真面目そうな印象の学生さんですね^^
北さんも お供がいてくれて嬉しそうですね

鎌倉の紅葉は とても素晴らしいですね
このお寺も 趣きある風情で素敵です
楽しませていただきました^^

竹・・・さぶちゃんの歌 いい歌ですね
冬が来た・・・光太郎の詩の言葉がじんと心に響いてきます
両方とも元気が出ますよ 応援歌そのものですね
  1. 2012/02/01(水) 01:48:24 |
  2. URL |
  3. ユウスケ #ZvWJaGwQ
  4. [ 編集 ]

ユウスケさん
おはようございます。
≫真面目そうな印象の学生さんですね^^
ありがとうございます。伝えておきます。
きっと、彼、噴出してしまい・・否、否、喜ぶと思います。WWW
でも、本当に生真面目なんですよ。
僕もあんなに真面目だったらきっと違う人生を・・・WWW
でも、まっ、今も楽しい人生ですからこれでいいです。WWW

「イワガラミ」「イワカガミ」クリックすると、
初夏の境内の様子が見られるようにしましたのでお時間が有りましたら見て下さい。
『竹』の歌、詩も曲も好きなんです。(笑)
僕は高い声が出ないので『カラオケなどに行った時は、歌の上手な仲間に歌ってもらっています。
  1. 2012/02/01(水) 10:22:32 |
  2. URL |
  3. 北さん #-
  4. [ 編集 ]

どう頑張っても絶対に彼のように真面目にはなれない我が息子と比較してしまいましたw
詩を口ずさむなんて有り得ない(T_T)

昨日 拳と拳の殴り合いして遊んだと笑ってました(^_^;)
  1. 2012/02/02(木) 12:20:53 |
  2. URL |
  3. あきゅら #-
  4. [ 編集 ]

如月二日

〇  退職後すでに八年まだ失せぬ教えたくなる因果なる癖        鳥羽省三       
〇  中三に「いざ、鎌倉!」も無かんべー?少々早くはございませんか?   
〇  「いざ、鎌倉!」 喜多さん既に立たざれば備えは無用弥次さん同様
〇  花八手白く花咲く静けさに縁切り寺の春は未だし
〇  西田逝き光太郎亡き平成の二十四歳如月二日    
  1. 2012/02/02(木) 12:42:04 |
  2. URL |
  3. 鳥羽省三 #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

高村光太郎とか西田幾多郎とか北島三郎とか・・・
文学に詳しいと言いますか・・・
私には豚の珍の感です・・・
まだレイノルズ数とかフルード数とかの方が分かり易い・・・


  1. 2012/02/02(木) 13:27:31 |
  2. URL |
  3. @我楽多 #kTvoSsVA
  4. [ 編集 ]

鬼うち豆を買って来ました

あきゅらさん
ありがとうございます。
あきゅらさんを真似てプチプチを買おうとホームセンターへ行ったら節分の豆まき用の豆を売っていました。鬼の面が撞いていたので脅かしてやろう思ってね。WWW

中学の教科書に載っている詩なので(使用している教科書会社が同じなら)長男さんも知っていると思いますよ。
只、話さないだけ。僕なんて中学生の頃、
勉強の話など一度も家でした事がありません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鳥羽省三さん
ありがとうございます。
お国の方は大変な雪ですね~。脱出して正解だったかもです。雪下ろしが大変そうです。
返歌
○人を観て 法を説けよと諭ししは 遠き昔の鳥羽殿ですぞ
○小六で 「いざ鎌倉」は習っとる 少しも早くはございませんが
○早熟の 友は14でニーチェを読みし 少しも早くはございませぬが
○説明は 己の為の備忘録 それでも最近欠落ばかり
○こんこんと 知った顔して説明す 汝は何者ぞ 野狐の声

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
我楽多写楽さん
ありがとうございます。
たまたま名前程度を知ってるだけで、偉そうな事言ってっているだけです。e-260

≫まだレイノルズ数とかフルード数とかの方が分かり易い・・・
未だ僕には良く分かりません。
それで、「二宮忠八の展示室」で、飛行機の揚力についての説明等があったのですね。

  1. 2012/02/02(木) 18:36:52 |
  2. URL |
  3. 北さん #-
  4. [ 編集 ]

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Author:喜多さん
瀬戸内海と東京湾、二つの故郷を行ったり来たりの根無し草。
瀬戸内の小さな島や三浦半島の風景、生活等を中心に描いています。
又、折々に咲く身近な草花や、旅先で出合った風景等も織り交ぜながら、好き勝手な事を綴っています。

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